
墨出しとは

現場の床や壁に「実物大の設計図」を描く作業のこと。
どんなに素晴らしい設計図があっても、更地やコンクリートの床面のままでは、職人はどこに柱を建て、どこに壁を建てればいいのか分かりません。
そこで、実際の現場に「ここに壁がきます」「ここが柱の中心です」という目印を原寸大で描いていく、超重要かつ最初のステップが「墨出し」です。
1.墨出しの基本手順
まず覚えておきたい基本の流れは以下の通りです。
「基準」を見つける・決める
建物の基準となる点(通り芯・親墨)や、高さの基準(建築基準の床面から1mの高さなど)を確認・設定する。
墨を弾くポイントをつける/罫書く(けがく)
図面から壁や柱の位置を確認する。(通り芯や親墨からの寸法を確認することが多い)
- レーザー水平器も使用し直角や平行等も確認する。
- ポイントをつける際は、鉛筆orマジックペンでVの字を描く。(Vの字の交点がポイントとする)
線を引く(墨を弾く)
2人で糸の両端を持ち、ピンと張って床に弾いて墨を落とし線を引きます。
3.墨出しの種類
現場ではいろいろな墨の呼び方が飛び交います。まずはこの2つを押さえましょう。
| 墨の種類 | 読み方 | 役割・意味 |
| 地墨 | じずみ | 床面に引く線。壁の位置や柱の位置を直接表します。 |
| 陸墨 | ろくずみ | 水平を表す線。高さの基準(床から1mなど)になり、天井や窓の高さの基準になります。 よく「メーター墨」と言われることがあります。 |
| 親墨 (基準墨) | おやずみ (きじゅんずみ) | 建物の位置や高さのすべての基準となる、現場で最も重要な「命の線」 |
| 寄り墨 | よりずみ | 柱や壁の「仕上げ面」から、一定の距離(300mmや500mmなど)を離して引く補助線です。 実際の壁の位置に墨が引けない場合や、仕上げで隠れてしまう場合に重宝します。 |
| 返り墨 | かえりずみ | 障害物などで基準の墨が見えなくなることを見越し、 あらかじめ反対側や別の場所へ一定距離(1mなど)移動させておく墨です。 |
4.墨出し作業で使用する道具
- 墨壺(すみつぼ)
“墨”を入れるものと”チョーク”を入れるものがある。(最近ではインクを使用するものもあります。)
基本は墨を使用する墨壺を用意しておきましょう。
墨の色も黒・朱(赤)・青と何種類かあるので、墨壺も2~3個持っていいると便利です。
自動で糸を巻き取ってくれる自動巻きがオススメ! - スケール/コンベックス
よく使用するのは5~5.5m巻きのもの。
現場が広い時は7~10m巻きのスケールが便利です。 - レーザー水平器(受光器)
ジンバル式(振り子・磁器制動)と電子標準式(センサー・モーター制御)の2種類があります。
さらにレーザー色も赤色や緑色のものがあります。
どちらが良いとかは好みが分かれますが、フルライン照射(水平360度、垂直4方向)がオススメです。 - 差金(さしがね)
30cm程度の大きさの差金を1~2本携帯していると便利です。
直角を確認したり、壁下地の墨を罫書くときによく使用します。 - 鉛筆/マジックペン
シャーペンでもOK。芯の太さは好みが分かれますが、私は0.7~0.9mmのHBを使用しています。
マジックペンも細芯と太芯の両方を持っていた方がいいです。
鉛筆やシャーペンでは書けない/見にくいところ、
大きく表記する文字(通り芯、下地の止まりの記号等)を描くときに重宝します。 - 刷毛/左官刷毛
床に埃やチリがあり、墨がつかない面にサッサと掃除ができて便利です。
